サイドカーとは
 
以前、損保会社のチューリッヒの記事を紹介しました。
この記事は書かれている内容の8割がデタラメと言うとんでもないもので、大手損保会社と言えどサイドカーについて正しく認識していないことに大変驚きました。



その元記事が2023年8月に全面刷新されていたことが分かりました。


新しい記事はモータージャーナリストでYouTuberの相京雅行氏の署名入り記事となっており、以前の記事からどの程度改善されたのか非常に興味がありましたので、今回も記事の内容を順を追って見ていきたいと思います。





サイドカーとは、オートバイの側方に車体をつけた変則的な三輪自動車です。
違います。
当ブログでは何度も説明していますが、「三輪自動車」とは道路運送車両法の区分で、側車付二輪自動車に該当しない三個の車輪を備える自動車を指す用語です。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第2条の三
「車室にドアがある」「ステアリングホイール式のハンドル」などの特徴を備えた三輪の自動車は「三輪自動車」となります。

やはりと言うか、記事の冒頭からやらかしています。
と言うか、この文章は改訂前と変わっていません。
改訂したんじゃないの?
著者が変わったんじゃないの?


サイドカーの大きな特長は、側車を切り離せることです。側車部分を外して走行できない構造を持つものは、道路運送車両法で「三輪自動車」に分類されます。一方で、側車が切り離せるサイドカーはオートバイに区分されます。

誤りです。
道路運送車両法の車両区分にそのような条件はありません。
サイドカーを切り離せようが切り離せまいが、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第2条の四に該当する三輪の自動車は、道路運送車両法では「側車付二輪自動車」の区分となります。

サイドカーを外して走行出来ない構造を持つものを三輪の普通自動車とする区分の仕方は警察庁の通達「三輪の自動車の道路交通法上の取扱いについて」に記載されている内容ですが、これは道路交通法における区分方法です。
ただし絶対的な基準ではなく、判断は車両毎におこなわれ、クラウザー・ドマニのように条件に該当しない車両でもサイドカーに区分されているものがあります。
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【クラウザー・ドマニは側車を切り離せないが道路交通法においてサイドカーに区分されている】

なお、サイドカーを外して走行出来る構造を持つ車両であっても、道路運送車両法ではサイドカーを取り外して走行する事を認めていません。


サイドカーと同様に、3つの車輪を持つ車にトライクがあります。トライクとは、3個の車輪を備えた構造で、トレッド幅は460mm以上あります。また、オートバイのように車体を傾けて旋回する機能を持ちません。
違います。
トライクはオートバイの基本構造を持ち三個の車輪を備える車両の通称であり、トレッド幅や車体を傾けて旋回する機能の有無は関係ありません。

ちなみに、一部のトライクを法的に二輪車とみなす特定二輪車の条件にトレッド幅460mm未満がありますが、特定二輪車となる為の4つの条件のひとつであり、トレッド幅460mm未満であっても他の3つの条件を満たしていなければ特定二輪車にはなりません。
同様に、車体を傾けて旋回する機能があっても他の3つの条件を満たしていなければ、特定二輪車にはなりません。


道路運送車両法においてトライクは、250cc超であれば「側車付オートバイ」、50cc~250ccは「側車付軽二輪」、50cc以下が「原動機付自転車」に分類されます。なお、道路交通法では「自動車」の分類です。
誤りです。
道路運送車両法における側車付軽二輪の排気量条件は51cc〜250ccです。
また、道路交通法では50cc以下の車両は「原動機付自転車」に区分されます。


現行の道路交通法では、三輪の自動車は二輪自動車に分類されるため、排気量に応じた「二輪免許」が必要です。
違います。
道路交通法で「自動二輪車」に区分される三輪の自動車は、サイドカー付きオートバイと特定二輪車だけです。
その他の三輪の自動車は「普通自動車」の区分になります。


サイドカーを運転する時の注意点として、
特に右コーナーでは、サイドカーに人が乗っていない場合にスピードを出し過ぎると、サイドカー側のリアタイヤが浮いてコントロールしにくくなります。
と書かれていますが、記事の前のほうで
日本は左側通行なので、オートバイの左側に側車を取り付けるのが一般的です。
と書かれているのに上記の注意点は右カーに特有のものとなっています。

恐らくこの記事を書いた人はサイドカーの運転経験が無いのでしょう。
実際に運転していれば身をもって体験していることだからです。

この、サイドカーのコーナーリング特性については誤解している人が多く、某有名バイク漫画でもサイドカーの挙動が逆に描かれていたりします。

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【某有名バイク漫画のワンシーン】



Q
日本製のサイドカーはありますか?どのメーカーが製造していますか?

A
需要減にともないサイドカーを作っているメーカーはかなり少なくなっています。ロシア・ウラル、ドイツ・BMWなどが有名です。日本国内でもわずかですが製造している会社もあります。
現在、BMWはサイドカー付きオートバイを製造していません。



このように、記事を一通り見てみましたが、予想通りというか、大変残念な内容でした。


当該記事の内容は、
  • 道路運送車両法と道路交通法を混同している。
  • 側車付二輪自動車と三輪自動車を混同している。
  • サイドカーとトライクを混同している。
  • トライクと特定二輪車を混同している。

ことによって、支離滅裂な内容になっています。
改訂前から全くと言って良いほど改善されていませんでした。
てか署名記事でこのクオリティはヤバイです。

これが大手損害保険会社のページであることに驚きを隠せません。
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【参考画像】