ゆっくり走るよ

ゆっくりバイク系ひとりオウンドメディア。 ヘンテコなバイクでツーリングしたりキャンプしたりしながら、バイクや旅の話をしています。

2021年04月

スーパーカブ
 
ホンダ・スーパーカブシリーズの人気が衰える気配がありません。
最近、同名小説を原作とするアニメ「スーパーカブ」も始まり、人気はますます高まっていくものと思われます。

さて、先日、私は某所で、ホンダ・スーパーカブの自動遠心クラッチがJAWA(ヤワ、チェコのバイクメーカー)の特許を侵害して賠償金を支払った事例を紹介しました。

これは、世界初の自動クラッチ搭載バイクとされているJAWA350(1964年)に使用されている自動遠心クラッチの特許を、スーパーカブが欧州で販売開始された際に侵害したと言うものです。
スーパーカブC100の日本での発売は1958年(昭和33年)8月、ヨーロッパ進出が1963年なので、発売自体はJAWA350のほうが後なのですが、特許は既に押さえられていたのでしょう。
結果としてホンダは賠償金とロイヤリティをJAWAに支払うことになったようです。
進出前に権利関係を調べるぐらいはやりそうに思うのですが、当時は権利に関する考えもおおらかだったので、取り敢えず発売して何かあったら対応すれば良い、みたいな考えだったのかも知れません。

この時、スーパーカブのユーザーとみられる方から「スーパーカブは他社のパクリではない」的な指摘を執拗に受けました。
スーパーカブは当時としては画期的な製品でありホンダが世界に誇る発明品であることは疑いようのない事実であり、私もスーパーカブが他社のパクリだとは思っていないし、言ってもいません。
私も「スーパーカブが他社のパクリだとは言っていない」と再三申し上げたのですが、この方は理解できないのか、「よくある特許紛争の1つに過ぎず、悪意ある模倣とは分けて考えるべきだ」と従前の主張を執拗に繰り返すばかりでした。
そんな事はこの方に言われるまでもなく至極当然の話であり、そもそも私は「スーパーカブは他社のパクリだ」とは最初から一言も言っていないのです。

発明品というものは、何も無いところからいきなり完成品が出てくるようなものではなく、必ず何か参考にされたものがあり、それを改良したものであることがほとんどです。

スーパーカブについては1956年(昭和31年)に通産省(当時)と業界団体でおこなった欧州視察に参加した本田技研創業者の本田宗一郎と専務の藤沢武夫が、ヨーロッパ諸国で視察したモペッド(Moped、エンジンと自転車のペダルを併用する乗り物)を参考に開発されたことが、藤沢の著書「経営に終わりはない」や、書籍「ホンダスーパーカブ」に書かれています。

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ホンダスーパーカブ―世界のロングセラー 単行本 – 2012/8/1


因みにモペッドを推したのは藤沢で、本田はモペッドよりスクーターを推していたそうです。
「ホンダスーパーカブ」では、原田義郎・車体設計課長が、NSUクイックリィ(1954年)やオーストリアのプフ(Puch)を参考にしたと証言しています。
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【NSU クイックリィ(画像:Wikipedia)】

また、昭和48年に鈴木自動車(当時)に対して起こされた意匠侵害裁判で、本田技研が「それまで全く存在しなかった」と主張した「アンダーボーンフレーム」も、ヨーロッパのモペッドでは珍しくないものでした。

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特許庁「意匠制度120年の歩み」より】


上記「ホンダスーパーカブ」ではフレーム構造はドイツのツュンダップ・タイプ423を参考にしたと書かれています。
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【ツュンダップ Combinette 423S(1957年)(画像引用元)

このように、様々な参考、引用があったとしても、スーパーカブが画期的な発明品であることは変わらないのですが、スーパーカブが唯一無二の存在と信じて疑わない、スーパーカブ原理主義者とでも言うような人にとっては、スーパーカブの基幹技術である自動遠心クラッチが、スーパーカブより先駆けて他社によって実用化されていた事実をどうしても認めることが出来なかったのでしょう。

余談ですが、私が未だ若かりし頃、友人がホンダ車を買いたいと言うので、私の車でホンダディーラーに行きました。
対応した中年男性の営業マンは、私の車(他社製)をさんざん貶した上、「現在の自動車技術は全てホンダの発明であり他社の車は全てホンダの模倣だ」と言い放ったのです。
若かりし私は、この営業マンのあまりの無知に呆れ返ると同時に、ホンダの車は死んでも買わんと心に誓いました(笑)
ホンダ車を買うと意気揚々言っていた友人も、結局ホンダ車を買うことは無かったので、彼もこの営業マンの態度に何かしら思うところがあったのかも知れません。
私が今もホンダの車やバイクを一歩退いた目で見るのは、こうした原体験があるからなのでしょう。

車もバイクもホンダ車は優れていると本当に思っていますが、取り巻いている環境がアレなのです(汗)

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秀吉本陣跡
 
三木市の「平井山ノ上付城跡」(ひらいやまのうえつけじろあと)は、近年の調査で、三木合戦の際に羽柴秀吉方の本陣が置かれた場所であることが特定され、歴史遺産として整備されました。

以前、竹中半兵衛の墓を訪れた際に、こちらの駐車場を利用したのですが、その時は真夏だったため登山は断念しました。

今回改めて登ってみようと思います。


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駐車場には簡易トイレが設置されています。
山の上にはトイレなどの設備はありません。

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駐車場の案内板の裏手に登山口があります。

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登山口は駐車場から遊歩道が整備されており、軽装でも登ることが出来ます。
横のポストの中に無料の案内図が入っていますので一部もらっておくと便利です。

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段状の平坦地群。
兵を駐屯させるために斜面に平坦地を造成しています。

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(伝)太閤道(たいこうどう)
尾根伝いの山道で、秀吉ゆかりの道と言われているそうです。
秀吉が通ったのでこの名前が付いたのでは、との話ですが、私は、単に最も高いところにある道を、もっとも偉い太閤にちなんで付けただけじゃないかと勝手に思っています(笑)

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主郭(しゅかく)
コの字型の土塁で囲まれた、最も重要な曲輪(くるわ=城の区画)だそうです。

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木製の展望台は、老朽化の為か立入禁止になっていました。

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主郭から正面右手に三木城趾が望めます。
戦略上も重要な場所であったようです。

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主郭と三木城の位置関係はこんな感じ。

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櫓台状の土盛り
古墳を再利用した土盛りで、塔か何かが建てられていたようです。

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谷部に造成された曲輪
谷を埋め立てて平地を造成した曲輪です。

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遊歩道は大手口方面へ伸びていますが、案内図にあった山城の最高地点を目指して山道を進んでみました。

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しかし、整備されていない為、途中で道が無くなってしまったので断念。
来た道を戻って、大手口へ向かいます。

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大手口(推定)
本来の登城口。
両側に平坦地があり、兵が駐屯していたと思われます。

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この先は未整備の為、立入禁止になっていました。

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大手口から主郭へは、脇道を通って近道が出来ます。

戦国時代の遺構を今も目の当たりにすることが出来、歴史のロマンを感じずにはいられません。




石窯ピザ
 
最近は三田方面に行くことが多いのですが、ある日、永澤寺(ようたくじ)方面に向かって走っていると、「石窯ピザ」と書かれた看板を見かけました。
この辺りは何度も来ているのに、今まで気付きませんでした。
最近出来た店だったのでしょうか。
こんな山奥にピザ屋とは珍しいと思ったものの、その時は別に用事があったためスルー。

後日、昼食でもと、その看板のあるところに行ってみると、「定休日」の札が。
こうなると否応でも食べてみたくなり、石窯ピザへの思いは募るばかりです(笑)

そして先日、ついに行って来ました。

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場所は三田市乙原。
蕎麦屋さんを過ぎて、脇道に入るように指示する看板があります。

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さらに進むと、今度は急坂を登るように指示する看板が。

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そうして入っていくと、どう見ても民家にしか見えないところに入っていくように指示する看板が。
この奥がお店になっているようです。

中には手作りログハウス風の建物があり、そこが目指すお店「石窯ピザ 気まま」さんでした。

昼時でしたが平日だったためか、他に客は居らず、年配のご主人が一人で店番されていました。
平日はいつもこんな感じだそうです。

「ピザは生地が全て」と言うご主人は、独学で10年掛けて独自の生地を開発し、令和元年に店をオープンさせたらしいです。
ピザを焼く石窯は薪が燃料の本格派。
石窯も、お店も、何もかもご主人の手作り。

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マルゲリータ(1300円)
ピザの基本にして王道。
マルゲリータを食えばその店の実力が分かると言うものです。
ご主人が豪語するとおり、縁のパリパリ感とモチモチ感、程よい食感がある旨い生地です。
「生地が全て」と言いながらも、載っているチーズは地元三田の日向牧場モッツァレラチーズを使うなど、食材にもこだわっています。
もちろん旨いです。

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4種のチーズ(1400円)
いわゆるクアトロ・フォルマッジ。
美味しいチーズがたっぷり載ってチーズ好きにはたまらない。

メニューはピザだけで勝負しておられて、ピザとドリンクしかないですが、ここはピザを食う店だと思い知りました。
ピザのサイズは24センチ径ぐらいの、一人でも食べきれるサイズなので、お一人様も安心です。
もちろんカップルやファミリーでシェアして色んな味を試すのもお勧めです。

私は今まで「本場ナポリで修行した」だの、「ナポリピザ協会会員店」だのと謳う店で、ろくでもないピザを出されて辟易したことが何度もありますが、こちらのピザは間違いありません。
家の近所にあったら毎日通うレベルです。
その証拠に、土日では生地が売り切れて昼過ぎには閉店するらしいですよ。
近くにお立ち寄りの際は是非味わってみてください。
てか、ここを目指して進むべし。
マジお勧め!



特例
 
警察庁は4月8日付け「電動キックボードに係る産業競争力強化法に基づく特例措置について」通達した。



これは産業競争力強化法に基づく事業活動計画に認定された電動キックボードのシェア事業者が貸与する車両で、事業の実施区域内の道路を通行する場合に適用される特例である。

通常、出力0.6キロワット未満の電動キックボードは原動機付自転車に区分されるが、以下の条件に該当する車両については“特例電動キックボード”として小型特殊自動車に準じた扱いとなる。
  1. 新事業活動計画に認定された事業者が貸与する車両で、事業の実施区域内の道路を通行する。
  2. 車両寸法は長さ140センチメートル、幅 80センチメートル、高さ 140センチメートルを超えない。
  3. 原動機として、電動機を用いること。
  4. 15キロメートル毎時を超える速度を出すことができないこと。
  5. 運転者席は、立席であること。
※上記条件を1つでも外れると、特例を受けられない。
特に特例電動キックボードを利用中にうっかり事業区域外に出てしまうと交通違反となる場合があるので注意が必要。


実際に特例電動キックボードを運転する場合の規制や運用については、次のとおり。
  • 特例電動キックボードに該当する車両のうち、定格出力0.25キロワットを超えるものは自動車(小型特殊自動車)に該当する。
※定格出力0.25キロワット未満は原動機付自転車に該当するが、現状、認定事業者が貸与する車両は全て0.25キロワット以上である。

  • 特例電動キックボードを押して歩いている者については、機体の電源が入っているか否かにかかわらず、アクセルを操作していないのであれば歩行者となる。

  • 特例電動キックボードの運転者は、小型特殊自動車を運転することができる免許を受けていなければならない。
※普通自動車免許または普通自動二輪車免許があれば運転できる。原付免許では運転できないので注意。

  • 特例電動キックボードは小型特殊自動車に該当するので、運転者はヘルメットの着用義務がない。
※被っておいたほうが安全なのは言うまでもない。

  • 特例電動キックボードは小型特殊自動車に該当するので、いわゆる「小回り右折」を行わなければならない。
※二段階右折をすると違法(右左折方法違反)となるので注意。
時速30キロメートルの原付や自転車が二段階右折で、時速15キロメートルの特例電動キックボードが小回り右折なのは釈然としないが、特例電動キックボードも事実上は押し歩いて二段階右折することになるのではないか。

  • 自転車一方通行の標識があるところでは、特例電動キックボードも逆走禁止。
※降りて押す場合は通行可能。

  • 「車両進入禁止」、「指定方向外進行禁止」及び「一方通行」の標識で普通自転車が除外されている場合、特例電動キックボードも除外される。

  • 特例電動キックボードは、普通自転車専用通行帯がある場合、普通自転車専用通行帯を通行しなければならない。

  • 特例電動キックボードは、歩道および路側帯を通行出来ない。
※小型特殊自動車であるため。ただし降りて押す場合は通行可能。


この通達は、あくまでシェア事業者の車両を事業区域内で使用する場合のみ適用されるものであって、個人が所有している電動キックボードは該当しないが、今後規制緩和が予定されており、上記に準じた運用に変更されると考えられる。



自主回収
 
当ブログで何度か取り上げた“公道走行可能”を謳う電動キックボード「Kintone α GO」。
以前にも記事にしたとおり、昨年の11月に回収、返金が発表されていたが、今年の4月13日になって国土交通省から自主回収の実施が報告された。

参考記事:公道可能”電動キックボード「Kintone α GO」が保安基準不適合で販売停止、返金へ



報告書の記載によると、不具合内容は、
公道走行を可能とした電動キックボードにおいて、開発時の法規確認が不適切なため、保安基準第 61 条(制動装置の基準)に適合しない。そのため、平坦な舗装路面等で確実に保持できない。
となっており、クラウドファンディングで問題になっていた電気ブレーキに起因するものだ。

対象はクラウドファンディングで販売された698台とのことで、先述の通り既に昨年11月から回収がおこなわれているので実質的な問題は起こっていないと思われる。

ここで気になっているのは、不具合の原因を「開発時の法規確認が不適切なため」としているところ。
クラウドファンディングの状況報告や支援者とのやりとりをおこなう活動レポートによると、プロジェクト開始直後から複数の支援者が様々な問題点を指摘しており、この時点で仕様を再確認する時間的余裕は十分にあったはずだ。
開発者が法律に詳しくないのなら、法律や車両の専門家に監修を受ければ良いだけだ。
電動キックボードのメーカーで構成される日本電動モビリティ推進協会(JEMPA)では加盟企業に保安基準について指導をおこなっているようだが、Kintone社は加盟していない。
支援者から早い段階で再三問題点を指摘されながら、今になって「知らなかった」と弁明するのは企業の態度として大きな問題があると言わざるを得ない。
どうしてこんな対応になったのか代表者から詳しく訊いてみたいものだ。

このように法規を確認もせず、電動キックボードに灯火類を付けただけで「保安基準適合」「公道走行可能」を謳うメーカーが後を絶たない。
今回問題になった電気ブレーキは先日発売されたドン・キホーテが取り扱う電動キックボードにも採用されており、メーカーおよびドン・キホーテの対応が注目される。

参考記事:ドンキの”公道走行可能”電動キックボードが再販
参考記事:ドンキの電動キックボード、保安基準不適合で販売停止


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