トライク

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ウラル・ギアアップをはじめ、普通自動車免許で乗れる「トライク」の高速道路における法定最高速度は80km/hと言われています。
これはウィキペディアやトライクの販売店などでも、そのように紹介されています。

例えばJAFの質問コーナーにおける回答では、トライクについて次のように記載されています。

高速道路を走行する際の法定速度は80km/hとバイクより20km/h低くなりますが、通行料金はバイクと同額です。

ところが、これに一石を投じる出来事がありました。

きっかけは我らがウラル・ジャパンのウェブサイトにあった能天気な記述からです。

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ウラルサイドカーの楽しい巡航速度は105-120キロです。

待て待て(笑)
メーカー側が速度違反を奨励するような記述をしてどうする(汗)




このツイートに対して、サイドカーとトライク販売店の芝崎モータースさんから「トライクの法定最高速度は100km/h」との指摘がありました。

元ツイートはどういう訳か消されてしまったのですが、芝崎さんのサイトでもそのような記述がみられます。
芝崎さんのサイトは転載禁止なので詳細はリンク先を見ていただくとして、要約すると、

「トライクの法定最高速度は100km/hと警察に電話で確認した」というものです。

芝崎さんを疑うわけではないのですが、元記事には法的根拠が示されておらず、「警察に電話で確認した」だけでは確証が足りません。
私のほうでも関係法令を調べてみたのですが、トライクが100km/hで走行できる法的根拠が見つけられませんでした。


私は芝崎さんの客ではないので教えてもらうわけにもいきません。

仕方が無いので、私も芝崎さんに倣って、兵庫県警高速道路警察隊に電話で問い合わせてみました。

電話に出られた担当の方は大変丁寧に対応してくださり、関係各所へ問い合わせたり、資料を調べたりして頂いたのですが、結論としては、

「高速道路での法定最高速度は、側車付自動二輪車が100km/h、三輪自動車は80km/hだが、電話では詳細がわからないので、可能であれば所轄警察署に車両と車検証を持ち込んで見てもらって欲しい。」

とのことでした。


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そこでウラルとともに警察署へ出頭(笑)

受付で事情を説明すると、担当者の方が来られて車両と車検証を確認されました。
担当者の方もウラル・ギアアップを見るのは初めてだそうで、「カッコイイですねー!」を連発(笑)
  • これ何cc?
  • どこの国のバイク?
  • いくらぐらいするの?
  • 側車も駆動するの?
  • バックもできるの?
…と、どっかで聞いたような質問をたくさん受けました(笑)


担当者の上司の方も資料を持って来られて、次の回答を得ました。

  • 平成11年7月16日に運輸省通達により、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第2条第1項第4号ロに該当する車両、いわゆるトライクは「側車付二輪自動車」に分類されることになった。
  • 平成12年7月24日に道路交通法が改正され、二輪自動車および側車付二輪自動車の高速道路での法定最高速度が100km/hに改められた。
  • 従って、車検証の「車体の形状」欄の記載が「側車付オートバイ」となっている車両の法定最高速度は100km/h。


そもそも三輪自動車ではなかったトライク

平成11年の運輸省通達以降、トライクは三輪自動車ではなくなっていました。
普通自動車免許で乗れるということから、てっきり三輪自動車扱いだと思っていた私は「三輪自動車であるトライク」が100km/hで走行できる法的根拠を探していたのですが、そんなものは有るはずが有りません。
現在の法規では、トライクは「三輪自動車だから普通自動車免許で乗れる」のではなく、「特定の条件を満たす側車付オートバイの一部が普通自動車免許で乗れる」のです。

では、どうして法改正後17年以上も経っているのに「トライクの法定最高速度は80km/h」としている資料が多いのか、という点について、担当者個人の見解として、「法改正以前の『三輪幌型』で登録されている車両は条件を満たしていても80km/hの法定最高速度が適用されるためではないか」とのことでした。
また、トライクの法定最高速度が改正されたことについて、告知などの一般に公開する文書を出しているか尋ねたところ「警察内部の資料はあるが一般には公開していない」とのことでした。

警察の方には多忙なところ大変丁寧に時間をかけて詳細に調査していただきました。
この場を借りて改めてお礼申し上げます。


さて、いわゆるサイドカーとトライク、三輪自動車を分けている「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」の該当項は次の通りです。

三 「三輪自動車」とは、3個の車輪を備える自動車であって、次号(注:四号)のいずれかに該当するもの以外のものをいう。

四 「側車付二輪自動車」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

イ 直進状態において、同一直線上にある2個の車輪及びその側方に配置された1個(複輪を含む。)又は2個(二輪自動車の片側の側方に備えたものに限る。)の車輪(以下「側車輪」という。)を備えた自動車(注:いわゆるサイドカー)

ロ (注:イ以外の)またがり式の座席、ハンドルバー方式のかじ取装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が開放された自動車(注:いわゆるトライク)

これによると、一般にサイドカーとトライクを区別する条件とされていた、
  • 本車と側車を分離できない構造
  • 側車輪も駆動
といった条件が含まれていません。

なお、ウラル・ギアアップは道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第2条第1項第4号イ(いわゆるサイドカー)の条件を満たしていますが、こちらは別途、警察庁から「道路交通法第3条の普通自動車に該当する」との通知が出ていますので普通自動車免許で運転することが出来ます。
(参考:ロシア製二輪駆動側車付二輪自動車の適用区分の明確化(内閣府)