小型自動二輪
 
近年、手軽な移動手段として原付二種が人気です。
50cc超125cc以下の二輪車である原付二種は、原付に課せられている30キロ制限や二段階右折、第一車線の走行などの制限がありません。
自動車専用道路は通行出来ませんが、一般道では交通の流れに乗れるので利便性が高いのが特徴です。
自動車保険のファミリーバイク特約が利用出来るので、新たに任意保険に加入する必要が無い事も利点です。

さて、原付二種を運転するために小型限定普通自動二輪免許を取得する人も多いと思います。
小型限定普通自動二輪免許は125cc以下の自動二輪車(側車付を含む)が運転できる免許の事です。

では、ここでクイズ。
次の問いに○か×かで答えてみて下さい。


問1.全ての小型自動二輪車は、高速自動車国道を通行出来ない

問2.小型限定普通自動二輪免許があれば、全ての原付二種が運転できる














では、回答です。


答1.×

答2.×


これらの理由は過去にも当ブログで取り上げましたが、改めて解説します。






125cc以下でも高速道路を通行出来る訳


問1.全ての小型自動二輪車は、高速自動車国道を通行出来ない
答1.×

小型自動二輪車とは、道路交通法施行規則第二十四条で、

総排気量については〇・一二五リットル以下、定格出力については一・〇〇キロワット以下の原動機を有する普通自動二輪車
と定義しています。
また、普通自動二輪車とは、道路交通法施行規則第二条で、
二輪の自動車(側車付きのものを含む。)で、大型特殊自動車、大型自動二輪車及び小型特殊自動車以外のもの
と定義しています。

一方で、道路運送車両法第二条では、自動車を、
2 この法律で「自動車」とは、原動機により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽けん引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であつて、次項に規定する原動機付自転車以外のものをいう。
としていて、原動機付自転車は自動車に含まれません。
道路運送車両法施行規則第一条では、原動機付自転車を、

(原動機付自転車の範囲及び種別)
第一条 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号。以下「法」という。)第二条第三項の総排気量又は定格出力は、左のとおりとする。
一 内燃機関を原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあつては、その総排気量は〇・一二五リツトル以下、その他のものにあつては〇・〇五〇リツトル以下
二 内燃機関以外のものを原動機とするものであつて、二輪を有するもの(側車付のものを除く。)にあつては、その定格出力は一・〇〇キロワツト以下、その他のものにあつては〇・六〇キロワツト以下
2 前項に規定する総排気量又は定格出力を有する原動機付自転車のうち、総排気量が〇・〇五〇リツトル以下又は定格出力が〇・六〇キロワツト以下のものを第一種原動機付自転車とし、その他のものを第二種原動機付自転車とする。
としていて、125cc以下の二輪車(側車付きを除く)と定めています。


また、高速自動車国道法第二条では、自動車を、
4 この法律において「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車をいう。
と定義していて、道路運送車両法上の自動車しか通行することが出来ません。
従って、道路運送車両法上の自動車では無い原付二種は高速自動車国道を通行することが出来ません。

時々「小型限定普通二輪免許では高速自動車国道を通行できない」との主張を見かけますが、運転免許の条件には高速自動車国道通行の可否は規定されてないので、小型限定普通二輪免許でも問題なく通行出来ます。
あくまで乗っている車両が原付(一種、二種)だから通行出来ないのです。

では、小型限定普通自動二輪免許で運転できる自動車とは何でしょうか。

小型限定普通自動二輪車免許で運転できる車両は次の通りです。
  • 125cc以下の普通自動二輪車
  • 小型特殊自動車
  • 原動機付自転車(50cc以下)

この中で自動車は普通自動二輪車と小型特殊自動車ですが、小型特殊自動車は法定最高速度が35キロなので最低速度50キロである高速自動車国道を通行出来ません。
125cc以下の原付二種が高速自動車国道を利用出来ないのだから、全ての車種で利用出来ないように思われますが、実は125cc以下の普通自動二輪車は原付二種だけではありません。

IMG_5556
125cc以下の原付二種にサイドカーを装着すると、道路運送車両法では「側車付二輪自動車」に区分が変更されます。「側車付二輪自動車」は自動車の区分なので高速自動車国道を通行できます。
ナンバープレートは軽二輪の白いプレートに変更されます。
同様に、125cc以下の原付二種を改造したトライクも「側車付二輪自動車」の区分となり、高速自動車国道を通行できます。
ここで言う「側車付二輪自動車」とは道路運送車両法上の区分の名称であって、いわゆるサイドカーの意味ではありませんので注意が必要です。

困った事に、この事は当の高速道路会社ですら理解しておらず、例えばNEXCO東日本のウェブサイトにはこんな記述があります。
FullSizeRender
この件についてNEXCO東日本に問い合わせましたが、全く理解しておらず「警察からの指示」と言って全く取り合ってくれませんでした。
もちろん警察がそんな指示はするはずがありませんし、通行を拒否された場合は「道路会社を指導する」(警視庁交通相談)と言っています。
なお区分については料金所で依頼すれば「車種区分証明書」を発行して貰えるので、該当車種にお乗りの方は貰っておくと面倒がありません。




自動二輪免許では運転できない原付二種とは


問2.小型限定普通自動二輪免許があれば、全ての原付二種が運転できる
答2.×

小型限定普通自動二輪免許で運転できない原付二種があることに驚かれるかも知れませんが本当です。
と言うか、普通自動二輪免許でも大型自動二輪免許でも運転できないのです。
運転すると無免許運転となります、原付二種なのに!
ちなみに上記のトライクは原付二種ではありませんから違います。また、ミニカーでもありません。

これには2009年9月から施行された、特定二輪車の区分が影響しています。
特定二輪車とは、道路交通法で従来トライク(普通自動車)の区分だった車両のうち、特定の条件を満たすものを二輪車として扱うと言うものです。
その条件とは、


道路交通法施行規則第二条の表備考の内閣総理大臣が指定する三輪の自動車は、次に掲げるすべての要件を満たすものとする。
一、三個の車輪を備えていること。
二、車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に配置されていること。
三、同一線上の車軸における車輪の接地中心点を通る直線の距離が四百六十ミリメートル未満であること。
四、車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有すること。
平成21年 内閣府告示第二百四十九号
となっています。

一方で、道路運送車両法では上記と対になる保安基準の特例が設けられました。

第2条の2 自動車又は原動機付自転車のうち次に掲げるすべての要件を満たすものは、二輪自動車又は二輪を有する原動機付自転車の基準を適用するものとする。
一 三個以上の車輪を備えるもの
二 車輪が車両中心線に対して左右対称の位置に配置されているもの
三 同一線上の車軸における最外側の車輪の接地部中心点を通る直線の距離が四百六十ミリメートル未満であるもの
四 車輪及び車体の一部又は全部を傾斜して旋回する構造を有するもの
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第2条の2)

ここで注意しなければならないのは、道路交通法では「三個の車輪を備える」としているのに対し、保安基準では「三個以上の車輪を備える」としているところです。
つまり、保安基準では四輪以上の車両でも条件を満たせば二輪車として扱われると言う事です。

もし上記保安基準に適合する四輪以上の乗り物が50cc超125cc以下で登場した場合、登録は原付二種となります。
一方で道路交通法では特定二輪車は三輪に限定されているため該当せず、普通自動車となるのです。
したがって原付二種登録でありながら運転には普通自動車免許が必要となります。


FullSizeRender
【参考画像:四輪に改造されたトリシティ125】
上記車両はリーン機構がオミットされているので特定二輪車では無く四輪の軽自動車に区分されます。

現在、上記条件に該当する車両は発売されておらず、誰かが製作したと言う話も聞きませんが、法規上は存在できる事になります。

ただし、この車両を製作してもメリットはほぼありません。
普通自動車免許で運転したいだけならトライク化するほうが高速道路も使えて便利だし、改造も簡単だからです。
強いて言えば、原付二種枠内での改造の為、構造変更手続きは不要で、市町村に改造届を出すだけで済みます。
検査も無いため、保安基準に適合しているかの判断は自己責任となります。