スーパーカブ
 
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先日放送されたアニメ「スーパーカブ」第6話の内容を巡って、バイク界隈ではちょっとした炎上状態になりました。

第6話は、小熊が夏休みのアルバイトで稼いだお金で小型限定普通自動二輪車免許を取得し、自分のスーパーカブを排気量アップする改造をして原付二種登録に変更。さらには修学旅行先にスーパーカブで乗り付け、礼子と落ち合って二人乗りで国道134号を激走する、と言うものでした。

SNSでは、この話を視聴した人達から、様々な問題点が指摘されていたのでひとつずつ検証していきます。

普通自動二輪車免許は一週間で取れる?


この話の冒頭で、夏休みがあと一週間と示され、小熊が免許取得の意思を示したことで礼子が教習所に予約を入れます。
SNSでは、小型限定普通自動二輪車免許を一週間で取得するのは不可能では無いかとの指摘が相次ぎました。

結論から言うと、AT小型限定普通自動二輪車免許であれば、一週間で取得することは理論上可能です。
現在、AT小型限定普通自動二輪車免許を教習所で取得する為には、学科26時限、実技9時限の教習が必要です。
教習所の場合、第一段階で実技3時限+学科10時限、第二段階で実技6時限+学科16時限、そして卒業検定となっているようです。
実技教習は一日最大4時限まで可能で、3時限ごとに最低1時限以上の間隔を開けなければいけません(道路交通法施行規則三十三条の5の一)が、学科教習についてはこの制限がありません(同三十三条の5の二)。
従って、学科8時限を1日、学科2時限+実技3時限を1日、学科6時限を1日、学科5時限+実技3時限を2日の計5日で教習を修了出来ます。
更に夜間教習をおこなってるところでは一日最大12時限の教習を受けられるので、最短3日で教習を修了出来ることになります。
しかし、これはあくまで理論上なので、各段階のみきわめや卒業検定はノーミスでクリアしないといけませんし、そもそも夏休み期間の教習所は混雑していて教習予約が取れない可能性が高く、ハードルは非常に高いと言えます。
こんなことが出来るようなら、最初から免許試験場で一発試験に挑むほうが早くて安いでしょう。

オーバーサイズピストンによる排気量アップ

小熊は費用の問題から、サードパーティのボアアップキットではなく、純正オーバーサイズピストンを使用し52ccに排気量変更しました。
これは礼子が話していたとおり、補修用としてメーカーが用意しているオーバーサイズピストンを組み込んで排気量をアップさせます。
オーバーサイズピストンを組み込むためにはシリンダーを取り外して内燃機屋さんに加工してもらう必要があります。
車両をバイク屋さんに預けてシリンダーを取り外し、内燃機屋さんに加工に出し、加工が済んだシリンダーとオーバーサイズピストンを組み込んでもらいます。
こちらも普通に考えれば一週間では厳しそうに思うのですが、あのバイク屋は暇そうだったので、加工まで自分でやったのかも知れません(笑)
どうしても安く排気量アップをしたければ、純正オーバーサイズピストンではなく、ヤフオクで売られてる5千円の中華ボアアップキットのほうが……(無理筋)

原付二種だから二人乗り可能とは限らない

見事、AT小型限定普通自動二輪車免許を取得した小熊は、色々あって修学旅行先にスーパーカブで駆けつけます(笑)
そして、礼子が行きたがっていた湘南の国道134号を二人乗りで走ります。

先ず、小熊のスーパーカブは元々50ccなので一人乗りで、後部座席が付いていません。
この為、排気量変更して原付二種になっていても二人乗りすることが出来ません。
道路交通法五十七条
礼子は自分が乗車するためにヘルメットとタンデムステップ(笑)を持参していましたが、座席も必要です。
道路運送車両法の保安基準の細目告示第270条他)

但し、原付の場合、乗車装置があれば乗車定員変更の手続きは必要ないので、どうしてもタンデムしたければ、礼子は座席も持参するべきです。

免許取得後1年は二人乗りできない

座席の問題よりもっと厄介なのがこれです。
道路交通法七十一条の四の規定により、普通自動二輪車免許取得後1年以内は二人乗りすることが出来ません。
6 第八十四条第三項の普通自動二輪車免許を受けた者(同項の大型自動二輪車免許を現に受けている者を除く。)で、当該普通自動二輪車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して一年に達しないもの(当該免許を受けた日前六月以内に普通自動二輪車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、運転者以外の者を乗車させて普通自動二輪車を運転してはならない。
この規定により、小型AT限定普通自動二輪車免許を取得したばかりの小熊は、そもそも二人乗りしてはいけなかったのです。
しかし、この規定にも例外はあり、それに従えば免許取り立ての小熊も堂々とスーパーカブに二人乗り出来るのです。

それがこちら。
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【画像:エムクラフト



サイドカー!


上記、道路交通法七十一条の四の規定には「側車付きのものを除く」との一文があり、スーパーカブにサイドカー(側車)を付ければ、この規定は回避できるのです。
礼子はタンデムステップでは無く、サイドカーを持参するべきでした(笑)
原付二種にサイドカーを付ける事により、1年以内の二人乗り禁止回避の他、自動車専用道路や高速自動車国道を通行することも出来るようになります。
何故なら、道路運送車両法では、原付二種にサイドカーを取り付けた場合、「側車付軽二輪」に区分が変更されるからです。
側車付軽二輪は自動車の区分なので、自動車専用道路を通行出来ると言う訳です。
ナンバープレートも構造変更手続きにより、軽二輪の白いナンバープレートに代わります。

小型AT限定普通自動二輪車免許で高速道路を運転して良いのかと疑問に思われるかも知れませんが、問題なく運転できます(警視庁交通相談に確認済)。
何故なら、運転免許の限定条件に高速道路通行の可否は含まれておらず、通常の普通自動二輪車免許と同じだからです。
高速道路を125cc以下の二輪車が通行出来ない根拠は、道路交通法ではなく、道路法および高速自動車国道法にあります。
これらの法律は国土交通省の管轄なので、「自動車」の定義を道路運送車両法に求めているからです。
道路法第二条高速自動車国道法第二条
道路運送車両法における原付二種の定義には「二輪を有するもの(側車付のものを除く。)」との一文があり、サイドカーを取り付けたものは「自動車」とみなされます。
道路運送車両法施行規則第一条

小熊のスーパーカブにサイドカーが付いていれば、これらの問題が全てクリアされ、炎上することは無かったのです。




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