トライク
 
以前、「トライクと言う不思議な乗り物」と言う記事を書きました。
普通自動車免許で運転できるトライクについての規制やトラブルの事例について法律面から解説した記事です。
先日から、この記事へのアクセスが急増しました。
初めは理由が分からなかったのですが…



どうやら、この記事を読んだ人が、この記事のウラを取ろうとトライクの法規制について検索したためアクセスが増えたらしいことが分かりました。

私もこの記事を読んでみました。
トライクに関する法規制について簡潔にまとめられていましたが、いくつか気になるところが有ったので、勝手ながら少し補足してみたいと思います。


トライクは三輪自動車ではない

 運転免許を所持する全ての人が一度は覚えたはずなのに、牛馬や荷車と同様に現代の一般公道で見る機会が全くと言っていいほどないことから、記憶の彼方にある人がほとんどであろう三輪自動車。日本でオート三輪が最盛期を迎えたのは1950年代で、1965年まで三輪車の運転免許が存在したほどだから、70年以上も前には大きな需要があったのだ。
記事は冒頭からオート三輪の話で始まっています。
過去にはハーレーダビッドソンが貨物用の三輪バイクを製造していた時期もあるためか、オート三輪を引き合いに出していますが、現在の道路運送車両法ではトライクは三輪自動車では無く側車付二輪自動車に区分されています。
この事は記事でも触れられていますが誤解を生みやすい表現です。
当ブログではおなじみの「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第2条第1項」の規定により、トライク又はサイドカー、三輪自動車は次の通り区分されています。

トライク又はサイドカー(次のいずれかに当てはまるもの)
  • 直進状態において、同一直線上にある2個の車輪及びその側方に配置された1個(複輪を含む。)又は2個(二輪自動車の片側の側方に備えたものに限る。)の車輪(以下「側車輪」という。)を備えた自動車(四号イ)
  • またがり式の座席、ハンドルバー方式のかじ取装置及び3個の車輪を備え、運転者席の側方が開放された自動車(四号ロ)
三輪自動車(三号)
  • 上記(四号)以外の三輪の自動車
上記の通りトライク又はサイドカーと三輪自動車は法的に別の区分となっています。

道路交通法では普通自動車

まず、道路交通法では「自動車」に分類されるため、普通自動車以上の運転免許を取得していれば一般公道で運転することが可能だ。
記事では「自動二輪車ではない」というニュアンスで「自動車」と書かれていますが、これも誤解を生みやすい表現です。

道路交通法における「自動車」とは第二条九号に次のように定義されています。
九 自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、軽車両及び身体障害者用の車椅子並びに歩行補助車、小児用の車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
なので、「道路交通法では自動車」と言ってしまうと原付などを除く自動車全般の事になってしまい意味が分からなくなってしまいます。
ここでは「道路交通法では普通自動車」と言うほうが適切な表現です。

高速道路での法定最高速度は80km/h

今からおよそ20年前の2000年10月、軽自動車および自動二輪の高速道路での法定最高速度が80km/hから100km/hに引き上げられたのだが、ここに三輪自動車が含まれていなかった。
これは記事の通りなのですが、Twitterではトライクの法定最高速度が80km/hであることを初めて知った人や、道路運送車両法での区分が「側車付二輪自動車」であるため、自動二輪車の速度が適用されると思っている人も見受けられました。
道路交通法と道路運送車両法は別の法律であり、自動車の区分もそれぞれで定義されています。
1999年7月に道路運送車両法が改正され、トライクは三輪自動車から側車付二輪自動車に区分が変更されましたが、道路交通法での区分は従来の「三輪の普通自動車」のままである為、従来通り80km/hの規制が適用されます。
この事は、警察庁の通達からもあきらかです。
運輸省においては側車付二輪自動車として取り扱われることとなったが、運輸省における道路運送車両法上の取扱いの変更は道路交通法の解釈に変更を及ぼすものではないことを念のため申し添える。
これらの内容は取り締まる側の警察官も知らない場合があり、過去にはトラブルも起こっています。
無用なトラブルを避けるため、トライクに乗る方はこれら条文や通達をコピーして持っておくことをお勧めします。