電動キックボード
 
以前、広州のバイクに関する記事を書くために中華電動バイクを検索した為か、最近アマゾンなどを見に行くと、やたらと電動バイクを勧められるようになってしまいました(笑)

そんな中、こんな商品が売られていて驚愕。
念のため販売店名などは伏せておきます。

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1200Wのモーターを搭載し最高速度は40km/h、二人乗りも出来る電動キックボード。
しかも公道走行可能だと言うのです。

方向指示器などの保安部品やナンバープレートの掲出もなく、1200Wもの出力の電動機で駆動する乗り物が公道走行可能なはずがありません。
そんなこと素人の私でも分かりますよ。

ところが、この販売者は謎の理論で「公道走行可能」としています。
それがこちら、販売者が根拠としている「証明書」です。

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この「証明書」によると、この電動キックボードは道路交通法における「原動機付自転車」に該当しないので公道走行が可能だ、としています。

その根拠が書いてあったので引用して検証してみます。

日本を含め世界中のどこの国を見渡しても電動キックボードの公道走行を禁止する国はありません。
従って【電動キックボードは公道を堂々と走る事ができます】
世界の常識に逆らって日本だけが電動キックボードは公道走行を禁止する事など出来ません。
日本だけが禁ずる為には新たな法律の制定が必要です。
日本国内の公道で使用される乗り物の話ですので世界の常識は全く関係ありません。
日本国内では日本の法律だけが有効です。
それに日本でも電動キックボードの公道走行を禁止していません。
定められた保安基準を満たし、ナンバープレートを取得し自賠責保険に加入すれば堂々と公道を走行できます。
この販売店が販売している商品がそれらの条件を満たしていないので公道走行出来ない、というだけの話です。

「電動キックボード」は座席すらなく、下記道路交通法で定義された「車」とは明らかに違います。
従って原動機付自転車では無く大きさも危険度も自転車よりも遙かに小さい単なる遊具です。
道路交通法は運転免許や通行区分、最高速度など、公道での運用を定めた法律で、公道走行の可否には関係ありません。
公道走行の可否を定めているのは道路運送車両法の保安基準によります。
この車両は1200Wの電動機を動力とする二輪車なので、道路運送車両法施行規則別表第一の規定により二輪の軽自動車となります。

「電動キックボードには座席が無いから車ではない」と主張していますが、座席が無いので保安基準第22条を満たしておらず、公道を走行できません。


上記の通り、支離滅裂な内容で全く意味をなさない「証明書」となっており、こんなものを警察に見せたところで摘発を免れることは出来ません。
交通違反はあくまで違反した者の責任であり、「知らなかった」「販売店に騙された」は通用しません。

この「証明書」を発行したとされる「日本電動キックボード交通安全協会」なる団体について検索してみましたが活動実態が無く、電動キックボードの業界団体「マイクロモビリティ推進協議会」とも無関係のようです。

さらに、この販売店のものと思われるブログを見つけましたが、これがまた凄い内容でした。
(デマ拡散防止のためリンクは張りません)

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【個人名などは伏せています】

警察官が法律に疎いことに付け込んで、デタラメな法解釈をまくし立て、相手が折れたところで言質を取って「警察が認めたから公道OK」だと主張しています。
当たり前ですが、こんなやり方でその場での摘発を逃れたとしても、それは単に目こぼしであって、今後も通用するわけがありません。
それをあたかも合法であるかのように吹聴するのは、販売店の態度として大きな問題があると言わざるを得ません。

電動キックボードが次世代の移動手段として世界的に普及し始めているのは事実で、日本でも普及に向けた数々の取り組みがおこなわれており、業界団体も立ち上がっています。
そんな中、一部の販売店が公道走行に適さないものを公道走行可能と偽って販売したり、知らずに購入した人が公道で事故を起こすなどの問題が起こっているそうです。
早ければ来年度にも規制緩和されるとの噂もある中、軽はずみな行動はくれぐれも自重してもらいたいと思います。